お願いしたい事がある
大したことじゃないんだけど
でもあなた達でないとできないこと
_________________________________________ 『環状魔法陣』 後編
この二人は見るたびに成長しているように思う
子供だと思っていたらあっという間に抜かされるのかもしれない
フェイトさんに通信してあげてくれないかな
何かのついでみたいにしてさ
そう言うと彼らは不思議そうな顔をした
それはそうだろう
いわれなくても彼らは
母親代わりの人への連絡はまめに入れている
二人からのメールが来るたびに彼女は
あたしにまでその話をしてくれるからすぐわかる
でも今頼みたいのは直接通信だ
知らず知らず弱気になってしまうほどに。
これは口には出さない
二人の顔見たらきっとフェイトさんも元気出ると思うから、
お願い。
わかりました、とそろって頷いた後
二人は顔を見合わせた
・・・っ？！
あ・・・っ、
今だったら執務官室に一人でいるはずだから。
頼むわよ
まったく。
通信を切って、ふうと息をつく。
なるほど、ね。
『この間まで世話を焼いていたと思っていたら
いつのまにかこちらが世話を焼かれているんだ』
困ったような寂しいような
でも嬉しそうな
そんな顔をしていた上司を思い出す。
ま、これで少しでも
あの人が癒されればいいのだけど
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擦り切れた心を癒す治療魔法なんてない
こんなはずじゃなかった結末を変える魔法もない
魔法は何もしないんだ
何かを起こすのは人の意志
あたしの意志に何かを起こす力はあるだろうか
・・・・・とりあえず、
執務官補佐として
あたしが今できることといったら
あの子達にお願いをする程度
